ルート営業スタイルの組織ではどのようにして業績達成するのでしょうか?
案件営業スタイルでは営業部員のスキルや活動により受注、失注がはっきりしそのまま実績に反映されますが、ルート営業スタイルでは例えば営業部員が1ヵ月全く活動しなくてもリピートなどである程度売上が確保されたりするので、「営業の型」の作り方が難しくなります。
どのようにして得意先との関係強化を図り、継続的に売上が拡大していく仕組みを作るかがポイントとなります。
ルート営業スタイルでは「主要」10社と「重要顧客」(潜在購買力は高いが現状シェアが低い)と「新規」への活動が大切になります。
半期の予算を立てる時、「主要」10社には昨年実績や案件状況を考慮し、毎月の見込額を登録します。
例えばAさんが得意先を80社担当している場合、「主要」10社で80%近い売上を計上しているケースが多いです。「主要」10社は予算を達成するための中心となる顧客です。
「重要顧客」は今後拡大が見込め、次期主要に育てたい得意先です。
しかし、現状は競合が強い先で、簡単には拡大できません。そのためアクションプランとして「重要顧客対策」を検討します。
「新規」先は継続的な業績拡大には欠かせない得意先です。Web問合せ、紹介、展示会、セミナー、営業開拓などから育成します。
ルート営業の営業部員を大きく分けると、担当している得意先の業績がよければ予算を達成し、悪ければ予算が未達になる営業と、担当している得意先の業績の良し悪しに関係なく、予算を達成する営業です。
前者は「主要」10社へ活動が中心であるのに対し、後者は「重要顧客」と「新規」先の開拓を日頃から確実に実施しているのがポイントです。
■主要10社
・先行管理で売上予測を見える化し、次の活動を促します。
・先行管理では主要10社とその他(10社以外)に対し、昨年実績、今年見込額、受注残、今年実績と現在進行中の案件に受注確度を掛けた見通しを表示します。粗利も同様。
・今年実績と案件見通しで予算を達成できそうな場合は、案件のクロージングに注力します。
・今年実績と案件見通しで予算を達成できそうにない場合は、3ヶ月未活用リストなどを活用し新規案件化に注力します。
■重要顧客
・得意先情報を深堀し、現状シェア、競合情報を見える化し、毎月の「課題と対策」を策定します。この時のポイントは、売上や粗利目標ではなく、活動目標を入力します。
・重要顧客は競合がしっかり入り込んでいるので、簡単には入り込めません。まずは売上には関係がなく、得意先のお役に立つ活用を行い、キーマンを探すことが大切です。
・「課題と対策」に則した活動を実施し、少しずつ関係構築を図ります。
・毎月の進捗は少なくても確実のPDCAを回して改善していくことが大切です。
■新規
・Web問合せ、紹介、展示会、セミナー、営業開拓など新規の「取引経緯」を見える化し、傾向を掴むことが大切です。
・展示会の場合はどの展示会かを選択できるようにします。そうすることでA展示会では見込客が100件発掘できたが、実際の取引は発生していないが、B展示会では見込客は10件だがその内4件が取引開始になったなどの状況が分かります。
・単純にA展示会の方が反応は良いが実績に繋がらず、B展示会の見込は少なくても確実に実績に繋がることが分かれば、次年度どの展示会に予算を掛けるかの参考になります。

ルート営業スタイルでは、得意先の顧客区分を見える化し、どこに注力するかを決めていきます。
「主要」10社を中心に、業績の基盤となる「見込計画」「活動計画」(P)を立て、実際に「実行」(D)します。その内容を様々な切り口で「情報分析」(C)し、社内の「営業ナレッジ」(A)化を進めていきます。この「営業ナレッジ」を生かし、次の「顧客区分」「見込計画」「活動計画」「アクションプラン」に生かしていきます。
また「重要顧客」に対しては、「重点顧客対策」をして「アクションプラン」を立てPDCAを回していきます。
「実行」時に大切なことは「お役立ち活動」です。得意先の「ニーズ・ご不満」「気づき・提案」などお困りごとをしっかり把握し、お役立ち活動を行うことで、お客様との信頼関係が構築できると、「価格」だけではない良好な関係に発展したりします。
以上